パーキンソン病について
パーキンソン病とは

私たちは身体を動かそうとする時に脳の「大脳皮質」から全身の筋肉へと指令を発信して動かしています。
きちんと指令が伝わることによって、自分の思う通りに体を動かすことができるのです。
パーキンソン病は、脳の異常によりその伝達が思うようにできなくなる病気です。
運動をスムーズに行うために重要な役割を担っている脳の一部の機能が低下するため、体の動きに障がいがあらわれます。
女性の方が男性に比べて発症しやすく、主に50〜60代以降に症状が出始めることが多いですが、若年性パーキンソン病のように若くても発症するケースもあります。
原因としては、脳のドーパミン神経の減少が挙げられます。
ドーパミンの生成には脳の中にある「中枢黒質」(こくしつ)という部分が関わっています。
黒質にタンパク質が蓄積されることでドーパミンが作られます。
ドーパミンは脳からの指令を身体へ伝達し、運動を円滑に行う役割を担っています。
パーキンソン病の方はこの「黒質」の細胞が減少してしまうため、その結果としてドーパミンが減ってしまい、脳から身体へと指令がうまく伝わらないため思うように身体の動きを調節できなくなるのです。
パーキンソン病の症状

パーキンソン病になると運動障害、非運動障害が生じます。
これは筋肉へ指令を伝達しているドーパミンが不足することにより発症します。
運動障害の主な症状として4つ挙げられます。
無動(むどう)
素早い動きを行うのが難しく、歩くときに足を出しにくくすくみ足になってしまいます。
また、歩行の動きだけでなく、話し方に抑揚がなくなり声が小さくなる、書く文字が小さくなるなど、身体の動き全てが小さくなることが特徴です。
筋固縮(きんこしゅく)
肩、膝、指などの筋肉が固くなり、思うように動かしづらくなり、身体全体の筋肉がこわばってしまうため、顔の筋肉が動かしづらく無表情に感じられたり、身体を動かす際に痛みを伴うこともあります。
振戦(しんせん)
安静にしているときでも手足に細かなふるえるが生じたり、場合によっては体全体に起こることもあります。
睡眠中はふるえはおさまりますが、目が覚めるとまた始まります。
姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)
転びやすくなる、歩いていて急に止まれず方向転換が難しいなど体のバランスを取ることが難しくなります。
症状が進行すると首が下がり、体が斜めに傾くこともあります。
転倒による骨折も起こりやすくなるため注意が必要です。
非運動障害
黒質のドーパミン神経の減少に加えて他の中枢神経や自律神経もダメージを受けているため、便秘、頻尿、立ちくらみ、めまい、むくみ、冷えなど自律神経に異常をきたしたり、睡眠障害、嗅覚障害、疲労や湿疹、認知症、抑うつ、幻覚など精神症状を引き起こすこともあります。