パーキンソン病のリハビリ
「パーキンソン病」とは?原因と症状を知っておこう
発見したジェームズ・パーキンソン医師の名を冠する「パーキンソン病」
パーキンソン病は、50歳~65歳以降に多くみられる病気で、日本では約30万人程度(約1,000人に3人)が発病していると推定されています。
ゆっくりと進行する病気であり、発症や病気の進行に気づかないケースも散見されます。
適切な治療を行えば、発症後10年程度は普通の生活が可能とされていますが、個人差があり、それ以後の予後は個人差が大きいと言われています。
パーキンソン病の原因
パーキンソン病は、脳の奥の「黒質」と呼ばれる場所にある神経細胞が壊れ、ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が減少してしまうことで発症すると言われています。
パーキンソン病になるとドーパミン量が1/5程度に減少します。それにより脳内から筋肉に送られる運動指令に滞りが生じ、体の動きに障害が現れます。
その他にも非運動症状として、うつ症状や睡眠障害、低血圧や便秘が現れたり一部の認知機能が低下する事もあります。
パーキンソン病は「SPECT(スペクト)検査」にて脳内のドーパミン神経の状態を見ることで診断することが可能です。
動作の緩慢さや身体のこわばり、手足のふるえが気になる方はお近くの医療機関へご相談ください。
パーキンソン病で起こる代表的な4つの症状
パーキンソン病の代表的な症状は、4大徴候と呼ばれ、①安静時振戦、②筋固縮(筋強剛)、③無動(寡動)、④姿勢反射障害が挙げられます。
発症からの経過にもよりますが、どの症状が強く現れるのかは人によって異なります。
安静時振戦(しんせん)
安静にしているときに、手や足に細かな振えが生じます。
動作や運動中には振えが止まるのが特徴です。
無動
運動を開始するまでの時間が遅れたり、その後に生じる運動がゆっくりになってしまう症状を無動と呼びます。
立ち上がる速度や歩く速度が遅くなってしまうのが特徴で、筋力など身体の機能が十分に保たれている状態でも、ゆっくりになってしまう場合もあります。
症状が強くなると、歩き初めに足がすくんでしまう“すくみ足”が生じることもあります。
筋固縮(きんこしゅく)
筋固縮とは手足や体幹の筋肉が強ばってしまい、スムーズに動かす事が難しくなる症状の事を指します。
第三者が手足を曲げたり伸ばしたりする際にうまく力が抜けませんが、本人が固縮を自覚することは少ない印象です。
姿勢反射障害
姿勢反射とは、身体の平衡や安定性を維持するための無意識的な反応のことで、立ったり歩いたりする場面以外にも絶えず私たちの身体をコントロールしてくれています。
パーキンソン病では姿勢反射が障害されることによって、バランスが悪くなり、転びやすくなります。
傾いてしまった身体を元の姿勢に戻すのが難しくなったり、姿勢の傾斜を自覚しにくくなってしまう場合もあります。
姿勢反射障害が歩いている途中に生じると、前傾姿勢が強くなり、つまづき等による転倒の危険性が非常に高まりやすい為注意が必要です。
その他の症状
- すくみ足 歩き始めや方向転換時に足がすくんでしまい上手く歩行を開始することが難しくなります。場合によっては足を出せずにそのまま前方へ転倒してしまう事もあります。
- 突進様歩行 歩行中に方向転換や停止すべき場面でも停止できなくなり、前方へ突進するように歩行してしまいます。
- 構音障害/嚥下障害 音声を構成する器官や飲み込みに関わる器官の動きが乏しくなり、声量が小さくなったり飲み込む力が弱まってしまいます。
パーキンソン病のリハビリはどんな方法で行うの?
パーキンソン病では、無動や固縮と呼ばれる症状によって、動きがゆっくりになったり小さくなってしまいやすいため、動きが大きくてメリハリのある運動を提供するのがリハビリのメインとなります。
また、音や視覚に合わせた運動をリズミカルに行うことで、よりダイナミックな場面を提供することもあります。
硬くなってしまった手足や体幹に対して、マッサージで可動性を取り戻すのは時間がかかりやすい為、ダイナミックな運動にストレッチの要素を組み合わせながら、柔軟性を取り戻していきます。
まとめ
パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療とリハビリテーションにより進行を緩やかにすることができます。
じっとしている時に手足が震えたり、歩幅が小刻みになって歩きにくいなど、違和感を感じた場合は早めに受診することが大切です。
この記事ではパーキンソン病のリハビリについて記載していますが、投薬も治療において重要な役割を果たします。
病状に合わせてドーパミンの原料となるレボドパ製剤(L-ドーパ)やドーパミン受容体作動薬(ドーパミンアゴニスト)を投薬し、適切なリハビリを行うことで、症状の進行を最小限に抑えることが出来ます。
1日でも長く歩ける日が続くよう、症状に合わせ様々な治療を組み合わせ、パーキンソン病と上手に付き合いましょう。