小脳に異常が生じてしまうと、脳から身体への伝達がうまくいかず、手足のふるえ(運動失調)が生じたり、真っ直ぐに歩くことが困難になる(酩酊歩行)、言葉がうまく話せない(構音障害)、飲み込みが上手くいかない(嚥下障害)目がかすんで視野が二重に見える(複視)など、日常生活の多くの場面に困難さが生じます。
代表的な小脳疾患
小脳出血と小脳梗塞が代表的な疾患となりますが、それ以外にも、脊髄小脳変性症などの神経難病、アルコール性小脳萎縮症、自己免疫疾患、脳腫瘍等によって小脳を損傷すると上記のような症状が表れます。
小さな筋肉はインナーマッスルと呼ばれ、関節の安定性に大きく関ります。運動の手がかりになるのはこれらの筋肉の他に、足部と体幹の可動性や、支持面と重心の関係性も重要となります。
リハビリでは段階を追って、徐々に運動させる関節の数を増やしたり、重力条件を変えたりしながら、左右対称的な運動から非対称な運動へ移行し、制御すべき筋肉の数を増やしていきます。これらの段階付の中では、目標となる動作場面でも失調が生じないような姿勢のコントロールを生み出すことが目標です。
具体的な練習方法としては、うつ伏せや四つ這い位の練習、寝返り等を用いて、体幹と四肢の近位関節(肩や股関節)の筋活動を促します。
経験的に、失調による不安定感によって転倒等への恐怖心が強くなると、「どれくらい力を入れられるか」にこだわり、強い筋収縮を好む傾向があります。
安楽で安全、かつ効率的な動作の獲得のために
リハビリに期待できること
- 立っていても揺れなくなる。
- 手先の細かい運動でも揺れにくくなる。
- リラックスした状態で動けるようになる。
- 杖や歩行器を卒業できる。
- まだまだよくなる可能性を感じる。
など、リハビリを通じて現状よりも「体が動かないこと」への不安を解消することができます。