脊髄損傷とは
背骨の中にある、身体と脳を繋ぐ神経の束が「脊髄」です。この神経が交通事故や高所からの落下、高齢者の場合は転倒や転落により傷ついてしまうと、運動や感覚の麻痺が起こってしまいます。手足が動かなくなってしまったり、痛みや熱さ、触れている感覚がわかりにくくなってしまう他、内臓や膀胱の機能低下を引き起こす場合もあります。
運動や感覚の機能が完全に遮断されてしまったものを完全麻痺、一部の神経が通じている状態を不全麻痺と呼びます。損傷のレベルにもよりますが、高位の脊髄(首の骨の脊髄など)になればなるほど、症状が重たくなる傾向にあり、「脊髄を傷つけてしまった部位と脊髄の損傷の程度」によって、予後は大きく変わります。
頸椎(上位からC1~C7と呼称)は呼吸筋、肩や手・指を司っており、損傷のレベルによって人工呼吸器が必なケースから車いすでの日常生活が自立できるレベルまで様々です。
胸椎(T1~T12)は体幹~下半身、腰椎から下は下肢の筋力低下や排泄に関わる機能を制御しており、損傷の程度によっては歩行の再獲得が可能な場合もあります。
一般的には、残存している機能を上手に活用したり強化することで、日常生活を円滑に行えるようにリハビリを実施します。
重度の方であればまずは一人で起き上がる、車椅子へ乗り移る、電動車いすの操縦方法やバリアフリー環境下への対応を目標とし、歩行の獲得が目指せそうな方は歩行補助具や装具の選定など、状態に応じてリハビリの目標を設定し、サポートしていきます。